05/11/2010
EXPRESSION
「表現」
ということばには
ふたつの意味があります。
自分の個性や考えを主張しようとすること、
と
自然や世界の奥に秘められた意味を顕そうとすること。
それは
自分の存在を個としてみるか
自然の一部として捉えるか
の違いかもしれません。
ぼくは
できれば後者でありたいと想っています。
「えっ」
と思われるかもしれない。
ぼくの作品は個性的で
自我が強いと見られているかもしれません。
結果はどうあれ
考えは違うのです。
作家は
頭で何かを生み出すより
心で生み出す方がいい。
頭を使うのは
テクニカルな部分の
最期。
まず
心に何が浮かぶか。
それは
とても自然でなければならず
その時、
場所、
条件の中から
見えてくるヴィジョンが大切。
極端な話、
作家は巫女みたいなものなんです。
自然の発するメッセージや意味を
敏感に感じ取って
形にする。
駄目な巫女は
見えてきたヴィジョンに
必要以上に
自分の意見を混ぜすぎてしまう。
すると
せっかくの神秘的メッセージが台無しになることもあります。
自然に何かを生み出したい。
それは
「そのままでなにもしない」
「なにも手を加えない」
ということでは決してなく
「そうせずにはいられない」
意識に逆らわず
「そうなってしまう」
流れに逆らわない。
たとえ意味がわからずとも。
だから
ときとして
自分の表現は
自分の意志ではない場合もあるし
思いもよらないこともある。
若いときは
作品をなんとか自分のものにしようと
あがいてましたね。
いまは
なすがまま
あるがまま
でいいと思っています。
もちろん
その前に
自分が何に向かっているのか
気持ちを落ち着かせて
ゆっくり
想いをめぐらす
時間が必要なのですが。